ただのジャンケンDeath(デス)
勝者と敗者
〔ジャンケンスタートです〕




ついに最悪のゲームの初戦が始まった。




ふと見てみると奥田の涙は止まっており、もう落ち着くことができていた。


いや、落ち着くというかは吹っ切れていた。




そのため、先に仕掛けたのは奥田だった。







「乱同、僕はグーをだすよ」







やはりだ。心理戦とでた。



ジャンケンはほとんどは運任せの遊びだ。


だが、自分は◯◯をだすなどと宣言すると話は別だ。



相手は何をだすのだろうか。


そんな疑問の渦にのまれてしまう。



頭を使う心理ゲームと化してしまうのだ。



案の定乱同はてんぱっている。




奥田の狙いはこれだった。



自分は◯◯をだすと言ったところでそんなに勝敗には関わってこないだろう。



だが相手がてんぱっているとこれまた話は別となる。



てんぱらせ、焦らせることによって精神面で上回れることになるのだ。




そうすると普段表情がよみにくい人でも考えていることが自然と顔にでてきて、分かりやすくなってしまうのだ。




人は焦ったり、自分が追い込まれていくと思考が単純化してしまうのだ。





普段あまり表情が変わらない人は精神面が強く、あまり動じない。


というか余裕でいられる範囲が広いと言った方が分かりやすいだろう。



ほとんどの状況にすぐに対応できるだけなのである。




今、この時点では奥田が比較的に有利だ。
< 22 / 59 >

この作品をシェア

pagetop