ただのジャンケンDeath(デス)
ルールを破ればこうやって殺されるのか。
そして驚くべきところはまだまだあった。
大井を殺しにきた時のスピードが、尋常じゃないのだ。
そして、動きにほとんど無駄がない。
さらには殺人に対しての躊躇(ちゅうちょ)も。
このジャンケンを僕達にさせる理由は僕らが殺したことにして、全ての罪悪感を感じないためだ。
それなら躊躇ぐらいするんじゃないのか?
今、仮面が喋っていたが、
その声が、なんというか、ギクシャクしていて、
とても普通の人が話すような感じではないのだ。
アンドロイドっぽいのだ。
いや、ぽいじゃない。
機械なのだ。
薄々感じではいた。
さっきも思ってたように人を殺すのがこわいのでは‥‥と。
確証はなかった。
でも、今の現状を整理すると、労働力を使うからとか、時間がかかるからとかじゃない。
人を殺すこと、そしてその罪悪感がこわいのだ。
だから決して自分では直接手をくだしたりはしない。
ほとんどは僕達、そしてそれ以外は機械に任せるのだ。
あくまでも殺したのは僕らか、その機械のせいにしようとするのだ。
これでもまだ予想だ。
確証はない。
でも、僕にはもう、こうとしか思えなかった。
自分で人を殺すことをこわがるようなやつが、僕達に同じクラスメイトを殺させている。
そして、その光景を見ている。
そう思うと、ものすごくムカついてきた。
大井を殺した仮面は、またもとの位置へと戻っていった。
純白の仮面を、赤く染めて。