一緒に帰ろ。
(結婚……してる?

ううん、?じゃなくて結婚してるんだ。)


『水田さん!あのっ、私が言うのも何なんですけど、こんなに遅くなってしまって、奥……さんに怒られませんか?』



水田さんは一瞬だけ『??』とした顔をしたけど、私が左薬指を凝視しているのに気付いたのか、少しだけ笑って、


「大~丈夫。だから俺のことは気にするなってのに。ほんっとにりり華ちゃんは、人に気使いすぎだね。

そのうちハゲちゃうよ?」



…………水田さんのボケにも反応できないくらい放心してしまいました。


りり華ちゃん、りり華ちゃん……。

頭の中でリピート、リピートです。


思わず、下を向いてしまっていると、水田さんがまた具合悪くなった?と心配そうに覗き込んできました。


顔が近づきすぎです。


(っっダメ……これ以上は、戻れなくなるっ……)
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