一緒に帰ろ。
『ダメ……ですよっ。奥さんに怒られますよ!?』


精一杯の明るい声で言ったつもりでしたが、声は震えていたと思います。


水田さんは驚いた様子もなく、また私の頭をポンッとして、


「そうだよね、ごめんね。今の、忘れちゃって?じゃあ、帰ろうか。」


その後は本当に何事もなかったかのように接され、家の前まで送ってくれたお礼を言って別れ、部屋に入りました。


そのまま着替えることもせず、ベッドにうつ伏せになり、泣きました。
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