一緒に帰ろ。
 それから数週間は、今までと変わらない、平凡な日々が続きました。

水田さんとのことは、ちょっとした気の迷いだったと思うことにし、実際日が経つにつれてあの日のことは忘れつつありました。



 12月の初め、四人の社員が私の働くエリアの支社に異動してきたとの報告がありました。


水田さんもその中の一人でした。


営業部である水田さんは、各店舗の見回りも担当されるので、いつかは私が働く店にも顔を出す日が来てしまいます。


いつかは、また顔を合わせる日が来る。
もう何とも思っていないつもりでも、一度だけでもキスをしてしまった相手だと思うと……やっぱり、少し緊張する。


そんな私の気持ちとは裏腹に、再会する日は意外と早く訪れました。
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