一緒に帰ろ。

　今までの経験上、あと１時間もすれば二人は番号交換が成立するはず。

そんなユカがうらやましくも思うけど、彼氏と別れたばかりの今の私にとってはどうでもいいことでした。


一方美咲ちゃんはというと…………


ハイ、酔っちゃってます。ベロベロです。専務とその隣の気の弱そうな男性に無邪気に絡んじゃってます。

いつもなら私が止めるんですけど、席も遠いし、専務もまんざらではなさそうなので放置しました。


そんなこんなで、そこそこに盛り上がりましたが、明日は平日でみんな仕事の為、一次会で解散に。

一番の上司である専務を皆で送り出した後に、それぞれ同じ方向に帰る人同士でタクシーに乗り込みます。


私と同じ方向は、なんとユカが楽しそうに話していた『山下さんの先輩』だけでした。


（これは……ユカに恨まれる……！）


身の危険を感じ、もうタクシーに乗り込もうとしているユカに慌てて声をかけました。


『ユ、ユカ？今日私の家に泊まりに来ない？私結構呑んじゃって、寝過ごしちゃいそうだから明日起こして欲しいんだけど……。』