続・俺と結婚しろよ!
「そんなに怒るなよ」
いつもの調子で賢ちゃんが言う。
「こういう落ち着いた味、好きだな」
お世辞かもしれないのに、胸がキュンとする。
顔がほころぶ。
すごく嬉しい。
「こういう家庭料理、店では出さねぇだろ?
スパイスの効いた料理ばかり食ってると、こんな家庭料理を食うと落ち着く」
本当に?
賢ちゃん、本当にそんなこと思ってくれてるの?
すごく緊張した。
だけど、賢ちゃんが喜んでくれるなら、作った甲斐があったよ!
「咲良、いい嫁だな!
マジで嬉しいぞ?」
「うん……」
「帰る場所があるっていいな。
咲良に会えるから、咲良のメシが食べれるから、俺は頑張れそう」
「うん……」
「ま、咲良の料理なら、ウンコでも食べるけど」
「馬鹿!」
なんでオチを作るの?
そんなオチがなかったら、感動で泣いていたかもしれないのに。
でも、そのオチすら賢ちゃんらしくて大好きだ。
あたし、駄目だな。
もう、賢ちゃんの全てが好きすぎる。