続・俺と結婚しろよ!
ふと、ついていたテレビから、音楽が流れてきた。
耳に残る、ミドルナンバー。
そして、少し鼻にかかったような歌声が聞こえてくる。
どこかで聞いた声……
あたしは自然にテレビを見ていた。
そこに、彼は映っていた。
アコースティックギターを抱え、遠くを見て、儚げに歌っていた。
少し童顔のその顔、ふわっとした髪。
全てが、昼間に会った彼と同じ。
「前川さん、ありがとうございました」
その歌声と、司会者の声にあたしは震えた。
テレビの中の光樹は、優しく微笑み頭を下げる。
客席からは、キャーという悲鳴が上がった。
ドクドクドクドク……
胸が嫌な悲鳴を上げる。
こんな時に見たくない。
賢ちゃんと一緒に見たくない!