続・俺と結婚しろよ!
分かっていたことだけど、賢ちゃんたちもすごく努力しているんだ。
才能だけで、あのすごいステージを手に入れるだけじゃないんだ。
あたしは、ずっと気になっていた話をようやくしてみる。
「あたしたち、もうすぐテレビ出演なんだけど……
また当て振りなんだって」
そう言いながらも思い出してしまった。
Fは、当て振りなんてしない。
テレビの生放送でも、完璧なライブを披露した。
それなのに、
「普通当て振りじゃね?」
賢ちゃんはそんなことを言う。
だから思わず言ってしまった。
「Fは当て振りじゃないのに!!
賢ちゃんっていつもそう!
賢ちゃんたちは雲の上の人なのに、そうやってあたしたちに同情する」
取り乱すみっともないあたしに、
「……同情じゃねぇよ。一般論だ」
賢ちゃんは相変わらず静かに答えた。
こういう時に思う。
普段はお馬鹿だけど、賢ちゃんってやっぱりオトナだ。
あたしの言葉に怒ったり、取り乱したりしない。