続・俺と結婚しろよ!
だけど……
賢ちゃんが電子ドラムに座った瞬間、空気が変わったんだ。
そこにいるのは確かに賢ちゃんなんだけど、玄だった。
すっと伸びた背筋。
軽く握ったスティック。
全てがサマになってかっこいい。
そして、ただならぬオーラをひしひしと感じた。
駄目だ、何も始まっていないのに、胸が熱い。
そして……
茜ちゃんの楽譜を見て、軽々叩く賢ちゃん。
その音色を聴いて思った。
やっぱり天才だと。
ただのドラムなのに、その音に惹きつけられる。
その手元に見惚れてしまう。
ぐいぐい心を掴まれて、離れなくなってしまう。
悠真も上手だけど、悠真とは全然違う。
それがはっきり分かった。