続・俺と結婚しろよ!
ー茜sideー
咲良ちゃんは、携帯を握りしめて出ていってしまった。
部屋の中にはあたしと玄さんのみ。
すごく気まずい。
身体が震える。
そしてあたしの脳裏には、数年前のあの出来事がありありと思い浮かんだ。
あたしを冷めた目で見る玄さん。
本気なら、抱くつもりはない、帰れと言われたこと。
あれはトラウマのようにあたしの心に住み着いていて、玄さんを見るだけで酷くイラつく。
だけど……
目の前の玄さんは、あたしの知ってる玄さんと全く別人だった。
「アイツ、怖ぇな」
玄さんはそう言って、持っているスティックで首筋を掻く。
「そう思うだろ?」
あたしに同意を求める玄さんを見て、あたしは目を逸らした。