続・俺と結婚しろよ!
この前までは、負けるかもしれないって言ってたのに。
あたしたちを褒めてくれたのに。
あれは全部嘘だったの?
賢ちゃんはあたしを見て、ため息をつく。
そして、静かに言う。
「負けねぇくらい、気合い入れてんだ」
部屋の中に沈黙が降り立った。
あたしは、何も言えずに賢ちゃんを見つめていた。
あたしの前にいる賢ちゃんは、お馬鹿な賢ちゃんではなく。
真剣な瞳であたしを見ていた。
「正直、俺たちはテレビ出演なんて大嫌いだ。
顔バレするし、面倒だし。
MVだって、極力顔バレしないようにしている。
それくらい、プライベートを大切にしてる」
そうなんだ。
確かに外出しても、賢ちゃんはあまり声をかけられない。
あたしは賢ちゃんをよく知っているけど、きっとFを知っていても顔は知らない人は多いんだろう。