続・俺と結婚しろよ!
「本当は店を継ぐつもりだったのに、家を出てしまった親不孝の息子だったのに」
賢ちゃんは寂しそうに言った。
「東京に行くって決めた時、親父と大喧嘩した。
それからずっと家に帰らずに……
オカンから初めて来た連絡が、親父の危篤だった。
家に帰ったら、このザマだ」
賢ちゃんは努めて明るく振る舞うのに、泣いてしまうのではないかと思った。
賢ちゃんは今も気にしているんだ。
ずっと罪悪感を感じているんだ。
あたしは、そんな賢ちゃんの心を完全に鎮めてはあげられない。
だけど……耐え切れなくて。
賢ちゃんの背中に抱きついていた。
「お父さん……
賢ちゃんのこと、大好きだったんだね。
……自慢だったんだね」
賢ちゃんの背中は、少し震えていた。