続・俺と結婚しろよ!






「きっと、お父さん、天国で喜んでいるよ?

賢ちゃんが立派になって。

美味しいフランス料理店も経営していて。

それに、こうやって時々帰ってきてくれて」



「咲良……」





賢ちゃんの声は、必死に涙を堪えているようだった。

あたしは、そんな賢ちゃんの心の拠り所になりたいと、本気で思った。





「咲良……お前は本っ当に……」



「もういいよ。

無理に話さなくていいよ」





あたしは、力いっぱい賢ちゃんを抱きしめる。

若い頃の賢ちゃんの気配を感じながら。






賢ちゃんのお父さん、賢ちゃんに会わせてくれて、ありがとうございます。

明るくて、お馬鹿で、優しくて、時々甘くって、そして家族思いで。

賢ちゃんほど素敵な人、あたしは知りません。




< 443 / 629 >

この作品をシェア

pagetop