続・俺と結婚しろよ!
「咲良は上田と、デザートよろしく。
フロアには出なくていい。
噂になると困るから」
賢ちゃんはそう言ってオーダーを見て、鉄板を火にかける。
そして、カットしてあった牛肉を焼き始める。
賢ちゃんが料理をしているところを見て分かっていたけど、恐ろしく手際がいい。
そして、丁寧で正確だ。
まるで、賢ちゃんのドラムのよう。
賢ちゃんに見惚れていたあたしを、
「奥さん」
賢ちゃんより少し年下の男性が呼ぶ。
慌てて姿勢を正すあたし。
その間にも、牛肉は美味しそうに焼けていき、賢ちゃんはワインをふりかける。
ぼうっと赤くて大きな炎が舞い上がった。
そんな賢ちゃんに見惚れていてはいけない!
「パティシエの上田です」
あたしは上田さんに頭を下げていた。