鼻を摘んで目を閉じて…
 「…………」




 憶えてるけどさ。

 ここで肯定していいものか微妙に悩む。

 だってさ、そりゃあ、昔のことだよ?

 でも、友達だったとかならともかく、イジメっ子。

 まったく憶えていられないのも、ちょっと物悲しい気がしたけど、どう見ても、今もあんまり性格がよろしくなさそうな、この男に虐めれてた相手だって知られても良いものか。




 「なんだよ、警戒すんなよ」




 はは、わかられちゃったか。

 横目であたしを見た浩志が、さっきあげた飴をポケットから取り出し、口にポイっと放り込んで顔を顰めた。




 「…けっこうハッカきついじゃん」

 「そりゃあ多少はね。のど飴だもの。あいかわらず苦手なんだ?」

 「わかってて、寄越すな」

 「しょうがないでしょ?それしか、今持ってなかったんだから」





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