鼻を摘んで目を閉じて…
 「お前、俺が泣いてるところ見ただろ?」




 泣いてるところ。

 まあ、そういえば、そうだったな。

 普段、敬遠していて接触を持たない相手なのに、わざわざ飴なんてあげたわけ。

 怪我した膝を抱えて、隠れてシクシク泣いていた姿がなんだか哀れを催して………。

 ま、まさかっ!?

 まさか、まさか。




 「俺も粋がってただけに、女に泣いてるところ見られるなんて、めっちゃプライドに触ってな」

 「………な、って」




 ちょっと、マジなのっ!?

 そ、そんなことで、あたしの幼い日の数年間、このバカにイジメられるという暗い幼少期を送るハメにっ!?





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