春待ちとれいん
はるのおと
甘い気持ちが心に芽生えた翌日、私は懲りずに早く家を出た。

けど、違うことが1つだけ。



「……」



耳に挿したイヤホンから、ポップな音楽が流れる。

ツゥイッターのタイムラインを目で追いながら、私の意識は反対側のホームに向いていた。



なんとなく、顔を上げづらい。

かといって今更時間を戻すのもお母さんに怪しまれそうで嫌だったし、何より、この朝の数分を失うのが怖かった。



『まもなく2番線のホームに──』



いつものアナウンスが流れ、電車が来る。

一度も顔を上げることが出来ずに、電車は私が向かうのとは反対方向へと走って行った。



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