春待ちとれいん
謝ったものの、急がずにはいられなかった。

寝坊だけはしたくなかったのに……!



「お母さん!今日寒い!?」

「朝晩は冷えるってさっきテレビで言ってた」

「ありがとう!」



椅子にかけっぱなしにしていたマフラーを手に取り、駅まで駆ける。

全力疾走でやっとのことでホームについた……のに。



「……あれ?」



向かいのホームに、彼がいない。

28分の電車が来るまで、まだ3分もあるのに。



ふと、昨日のレイの言葉を思い出す。

“その人がずっとその時間の電車を使うって保証もないし”……。



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