春待ちとれいん
ゆきどけ
あんなに嫌だった補講追試期間も、明日で終わり。

普段の学校は家を出るのがもう少し早いから、あの時間に彼に会えるのは最後になるかもしれない。



「そんなの……やだ」



名前も学校も、好きな音楽のジャンルも知らない彼の、あのときの笑顔が忘れられない。

私がいる1番線のホームと彼がいる2番線のホームは、まるで別世界。



線路を越えて向こう側に行くことなんて、羽が生えていない限り、出来ない。





「はい、じゃあこれで追試は終了です。みんな合格だったから、春休みにまで学校に来なきゃいけない子はいないわね。お疲れ様」



先生の掛け声に、みんなが一斉に声をあげた。

そんな中で、私だけが浮かない顔。



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