春待ちとれいん
珍しい、と思いつつ、メールを開く。

『追試お疲れ』……かぁ。

慣れた手つきで『ありがとう』と返し、ケータイの画面を消す。

窓の外にふと目を向けると、川沿いの桜が花を咲かせていた。



そっか、あったかくなってきたもんね。

雪解けとはよく言ったもんだ。



しみじみとそんなことを思っていると、手の中のケータイが震えた。

画面には、レイの名前。



『好きな人、どうすんの?』



どストレートな言葉が突き刺さる。

どうするって……そんなの、私が聞きたい。



『どうしようもないよ』



心配してくれる友達に後ろ向きな言葉しか返せない私は、なんて情けないんだろう。



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