春待ちとれいん
周りの目線を背中に受けながら階段を登りきり、彼しかいないホームに辿り着いた。



「あの……っ!」



今までで一番、勇気を出した。

金色の髪が揺れ、その奥の目が私を捉える。



視線が絡んだその後は──










『まもなく、1番線のホームに──』



いつもと変わらないアナウンスが流れる。

反対側のホームの彼に目を向けると、口パクで何かを言っている。

“い っ て ら っ しゃ い”……。

眠そうに手をふる彼に思わず笑みがこぼれ、同じく口パクで“いってきます”と返す。



その後すぐに来た電車に乗り込み、私は車内から彼に手を振った。





桜が満開の春、毎朝7時15分。

今日も私は、ホームの反対側の彼に恋をしている──。



【END】



< 25 / 25 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

幼なじみの不器用な愛し方

総文字数/16,074

恋愛(ラブコメ)38ページ

表紙を見る
突然ですが、契約結婚しました。

総文字数/157,510

恋愛(その他)153ページ

表紙を見る
危ナイ隣人

総文字数/249,873

恋愛(ラブコメ)437ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop