春待ちとれいん
周りの目線を背中に受けながら階段を登りきり、彼しかいないホームに辿り着いた。
「あの……っ!」
今までで一番、勇気を出した。
金色の髪が揺れ、その奥の目が私を捉える。
視線が絡んだその後は──
『まもなく、1番線のホームに──』
いつもと変わらないアナウンスが流れる。
反対側のホームの彼に目を向けると、口パクで何かを言っている。
“い っ て ら っ しゃ い”……。
眠そうに手をふる彼に思わず笑みがこぼれ、同じく口パクで“いってきます”と返す。
その後すぐに来た電車に乗り込み、私は車内から彼に手を振った。
桜が満開の春、毎朝7時15分。
今日も私は、ホームの反対側の彼に恋をしている──。
【END】
「あの……っ!」
今までで一番、勇気を出した。
金色の髪が揺れ、その奥の目が私を捉える。
視線が絡んだその後は──
『まもなく、1番線のホームに──』
いつもと変わらないアナウンスが流れる。
反対側のホームの彼に目を向けると、口パクで何かを言っている。
“い っ て ら っ しゃ い”……。
眠そうに手をふる彼に思わず笑みがこぼれ、同じく口パクで“いってきます”と返す。
その後すぐに来た電車に乗り込み、私は車内から彼に手を振った。
桜が満開の春、毎朝7時15分。
今日も私は、ホームの反対側の彼に恋をしている──。
【END】