春待ちとれいん
電車の到着まで、まだ10分近くある。

もう少し遅く出ればよかったなぁと、考えても仕方のないことを考えつつ向かいのホームに視線をやると、そこにはさっきではなかった人影。



「……綺麗」



ベンチに座ってウトウトと揺らされている金色の髪に、考えるよりも先に口を衝いて出た一言。



同い年くらいだろうか。

見たことのない制服を着崩してそこにいる男の子に、思わず釘付けになってしまう。



俯いてるから確かじゃないけど……顔も整って見える。

あ、ユリの好きなアイドルにそっくりだ。

さぞかしモテるんだろうなぁ。



朝日に照らされた髪から覗くピアスが、きらきらと輝いていて眩しい。


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