春待ちとれいん
それから3日、登校時間は元に戻ったものの、線路の向こうのあの男の子に会うべく、私は電車の時間を早めている。



「今日もこの時間に出てくの?」

「うん!いってきます!」



お母さんの声を背中で聞きながら玄関を飛び出し、駅へと足を進める。

その足取りは、今までよりもずっと軽快だった。





「……あ」



階段を駆け上がると、反対側のホームに金色を見つけた。

今日も眠そうに頭を揺らしながら、ベンチに腰掛けている。



「ふふ」



特等席になってしまったベンチに座り、彼の様子を眺める。



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