春待ちとれいん
追試は変わらず嫌だけど、穏やかなこの時間は自分の中で心安らげるものになっていて、ほんの少しだけ感謝してみたりして。



『まもなく2番線のホームに──行きの電車が参ります』



7時28分。

いつものようにアナウンスが流れ、彼はやってきた列車に乗り込んだ。



その様子をぼうっと眺めていると──



「……っ」



椅子に座ろうとした金髪の彼と、不意に視線が絡んだ。

あまりに突然のことに、勢いよく顔を逸らしてしまう。



ど、どうしよう!

目……合っちゃった……!



バクバクと暴れる心臓を抑えることが出来ずに、顔が火照るのを感じる。

私がそうしている間にも、彼を乗せた電車は動き出してしまう。



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