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引越し先にいたのは
ここ……だよね
おばさんの書いた地図は少しばかり雑だけれど、ここで間違いないはず。
でも、今日から住むのがこんなに立派な家だなんて聞いてない。
私は家の前で彷徨いてるのもなんか悪いな、と思い、インターホンを押してみた。
間違ってても嫌だしね
『てめぇ誰だ』
「針咲理沙です!今日からここに住むことになっています!」
あれ、緊張して勢いで自己紹介しちゃったけど、インターホン押して「てめぇ誰だ」はないよね。
もしかして私、とんでもないところに来ちゃった?
そんなことを考えていると、インターホンの向こうから親子らしい会話が聞こえてきた。
『おい親父、今日からここに住む人なんていんのかよ』
『今日から?いや、何も聞いていないが……とりあえずお嬢さん、困っているんだろう、中に入れてあげなさい』
『はぁ、めんどくせぇ、おい、まだいるんだろ、入れよ』
「いや、でも、間違えたの私なんですよね、今すぐここから立ち去りま……」
『いいから入れって言ってんだろ、お前は日本語も通じねぇのか?門は開いてる。早く入れ。俺も暇じゃねぇんだよ』
そこまで言われたら仕方ない。お言葉に甘えて休ませてもらおう。