君がくれたもの
慌てて、ドアを開けようとした時、
聞こえてきた悠介の、
「金澤か、
なにって見てわかんね?
今麻美といいことしてんだよ。」
という、声と、
「バカ悠介。」
という、麻美の甘い声。
只々、頭が真っ白になって、
私はその場に崩れ落ちそうになった。
もう聞きたくない。
そう思って、
耳を塞ごうとした時に、
「ふざけんな。
日菜子ちゃん傷つけといてなに開き直ってんだよ!」
と言う、金澤の怒鳴り声に、
私は気付けばドアを思いっきり開けて、
振り上げられた金澤の腕を強く抱きしめていた。
「…金澤、やめて…」
私の悲痛な声に、ぴくりと反応した金澤は、
「…なんで…
なんでだよっ…!
日菜子ちゃん…。」
悲しそうな私よりも傷ついた顔で
振り返って、私の頬に優しく触れた金澤の手。
「…日菜子。」
ぽつりと呟やかれた
私の名前。
悠介と麻美の声。