君がくれたもの


電話を切ると近づいてくる教室。

まだ1時間目か。

だけど、教室に近づくにつれて聞こえる

大輝と野澤さんの声。

大輝の声は怒っていて、

野澤さんの声も怒っている。

なに?

早歩きで教室に向かうと、

どんどん大きくなる声。

そして、教室のドアを開けた瞬間、


「…ハハハ。」

乾いた笑いと頬を伝う涙。

「…へぇ、そういう関係だったんだ。」

馬鹿みたい。

信じてって言ったのは


「信じてって言ったのは大輝じゃん。

でも信じられない行動をとったのは大輝じゃん。」

私が教室を開けてみた光景は

キスをする大輝と野澤さん。

「日菜子!違う!」

「なにが?

なにが違うの?

私の目がおかしいんだ?」

野澤さんのニヤニヤ顔。

「なに、ニヤニヤしてんの?」

イライラが収まらない。

祐介と麻美のときでさえこんな気持ちにならなかったのに。

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