君がくれたもの


「ぇ?怖い、桐谷さ〜ん。」

ぞくりと立つ鳥肌。

大輝の腕に自分を腕をごく自然に絡めた野澤さん。

何もかもがイライラする。

「ねぇ、野澤さん優香にボールぶつけようとしてたよね?」

ときくと、

目をそらして、

「なんのこと?」

と言ってきた。

「とぼけないで。

言っとくけど、優香傷つけるなら私を傷つけなさいよ。」

無言の大輝にイライラする。

「大輝、別れたいなら別れたいって言えばよかったじゃん。」

涙が止まらない。

野澤さんの態度にイライラして

大輝に裏切られたことが苦しくて、

近くにあった教科書やノートを投げても

大輝は避けなくて、

でも、私も当てるつもりなんてなくて

大輝の横を通り抜ける教科書やノート。

「…大輝のバカ。」

だけど、それでもこんなに大輝を愛しく思う私の方がもっと馬鹿だね。

荷物を掴むと、

「…帰る。」

そう言った私に

「送ってく、日菜子。」

大輝の声。

「…いい。
大翔が迎えに来る。」

それだけを言うと私は教室を飛び出した。

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