君がくれたもの


「日菜子?!」

「桐谷さん?!」

教室を出た私の横から聞こえた

優香と亜美ちゃんの声。

それさえも無視して、

私は昇降口へと向かった。

靴を履き替えて外に出ると、

校門前に止まる大翔の車。

助手席に泣きながら飛び乗った私を

心配そうに見つめる大翔。

だけど、

大翔はなにも言わずに車を発進させた。

「…うぅっ。」

静かな車内には私の泣き声だけが響いていた。




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