君がくれたもの


血を吹いても何度も何度も殴られ続けた。

だけど、

「「「おい!なにやってんだ!オメェラ!」」」

怒声が聞こえて、

次々と倒されていく男達、

それは俺の友達で、

なかなか来ない俺を心配して探しに来たらしい。

そして、朦朧とする意識の中

今でも一番仲良い友達、長瀬旬 Nagase Syun に抱えられた俺、

「おい!大翔!しっかりしろ!大翔!」

どんどん薄れ行く意識の中聞こえたのは、

「お兄ちゃん!」

日菜子の声だったんだ。



次、目を覚ました時に見えたのは白い天井と、

息苦しさ。

酸素マスク。

虚ろな目で辺りを見回すと、

肩を揺らしながら泣く日菜子。

何とか動く左手を動かして日菜子の頭を撫でた時、

「大翔?!」


日菜子は泣きっ面で顔を上げた、

その時からだったな、

日菜子がお兄ちゃんって呼んでくれなくなったのは…。

そして、初めてこんなに俺を大切に想ってくれる妹の存在に気づいたんだ。


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