君がくれたもの


日菜子は泣きながら、

俺が3日も眠り続けてたという事を教えてくれた。

昨日までICUにいたということも、

泣きながら怒りながら教えてくれたんだ。

一通り、泣くのと怒るのが終わったのか、

すくっと立ち上がった日菜子は、

「看護師さんとお母さんとお父さんと先生呼んでくる!」

と言って、

俺の向こう側に静かに本を読んでいた女の子に、

「すみません、お兄ちゃんが動かないか見張っててくれませんか?」

といきなり声をかけたんだ。

そんな声に驚いた顔をして本から顔を離した女の子、

「はい、いいですよ。」

ふわりと花のように笑った女の子。

それが、

光希との出会いだった。



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