君がくれたもの
どこかに運ばれていった光希を明け方までずっと待っていた。
だけど、戻ってくる気配はなくて、
気づけば俺は眠っていた。
「…ろと!…ひろ…ひろと!」
ハッと目をさますと、
心配そうな日菜子の顔。
「…光希は?」
「…え?」
「光希は?!」
辺りを見回しても光希の姿は見えなくて、
気づけば俺の頬を伝う涙。
その時ちょうど検温の時間できた看護師さんに俺は詰め寄って、
「光希は?!」
ずっとそう言っていた。
だけど
看護師さんは顔を歪めるだけで、
俺にはなにも話してくれなかった。