君がくれたもの


体調が悪かったのが嘘のようにはしゃいで笑って、

たまに転んで、

俺に甘えて、

そして、外泊許可の最終日、

俺は光希に、

抱いて、と言われた。

最後のお願いだから…

と泣きながら言われたんだ。

だけど、光希は心臓の病気。

無理に決まってる。

だけど、

光希のお母さんとお父さんも、

光希なら大丈夫だから。

そう言って俺の背中を押してくれた。


気づけば俺は光希を押し倒していて、

そのまま、俺の人生の中で一番きっと優しく、守るように抱いたと思う。

光希は、初めてで痛いはずなのに

涙を流して笑顔で俺の頬に手を寄せて、

「…大翔、幸せすぎて私もう十分だよ。」

そういった。

その笑顔が今までで一番綺麗で儚くて、

初めて光希から聞いた、幸せって言葉。


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