君がくれたもの
俺の笑顔に周りの女はキャーキャー言うはずなのに、
日菜子は違って、
うざそうにするだけ。
そんな日菜子を気付けば目で追っていた。
日菜子がたまに見せる笑顔を見ると胸がポカポカして、
俺にも笑顔が綻んで、
だけどたまに見せる寂しそうな表情にひどく胸が痛んだ。
それも全部、彼氏と親友のせいだってすぐにわかったよ。
すごく守りたいって思った。
だけど、それもなんでかわからなくて、
気づいたのは、
日菜子の
『遊び人にはわかんないと思うよ?』
『あー!うざい!
その貼り付けたみたいな笑顔いい加減やめてよ!わざとらしい!
見ててイライラする!』
そう怒鳴られた時、
胸がひどく痛んだ。
悲しかったからじゃない。
初めて俺のつくり笑いに気づかれたから、
初めて本当の俺を知ってくれるんじゃないかと思う人に出会えで気がしたんだ。
だけど、その時の俺の想いは雨の日に出会った泣き崩れる女の子に向いていた。
あの儚い女の子の泣き顔が頭から離れなくて、
日菜子の笑顔と女の子の泣き顔が俺の頭を交差していた。