君がくれたもの
だけど、ある日空き教室でサボっていると
聞こえてきた甘い声。
またか、そう思って二度寝しようとした瞬間、
「…ック。」
あの女の子の啜り泣く声が聞こえた。
気づけば自然と足が動いていて、
ガラッと扉を開けた先に見えたのは、
あの雨の日の女の子だった。
その子は驚いたように顔を上げて、
俺は、言葉を失った。
それ以上に泣きたくなって、
泣き崩れる女の子を抱き上げて柄にもなく学ランをかけると隣の部屋へと乗り込んだ。
そこには机で抱き合う男女の姿。
カッとなって、殴ろうとすればその腕は女の子、
日菜子に止められて、
その時の必死な顔に、
やっと気づいたんだ。
俺は、この子が好きなんだ。
あの雨の女の子と日菜子は同一人物ということに、
柄にもなく嬉しくなって、
だけど、
守るって約束したのに、
優香はまた冷夏さんと再会をしてしまった。