君がくれたもの


「どうした?」

心配そうに揺れる大輝の瞳。

そんな大輝が愛おしくて、

気づけば笑顔が浮かんでくる。

「…なんでも無いよ。

ただ…」

「…ただ?」

「…幸せだなぁって思って。」

大輝と出会えて大切な人が増えた。

家族の大切さがわかった。

家族の私を思う気持ちが分かった。

命の尊さを知った。

そして、

何よりも愛する事を知った。

そんな気持ちも込めて、そう言うと

目を見開いた大輝は、

ふっと笑うと、

「…もっと幸せにしてやるよ、」

そう言って笑った大輝は、私にキスをしてきた。

一瞬だけど、

本当に一瞬だけど、

真っ赤になった顔。

慌てて周りを見回しても、

みんなそれぞれの友達と楽しそうにワイワイ話して騒いでいて、
こっちを見てた人は多分いない。

あ〜、よかった。

とホッとしながら下を向くと、じーっと見ている、

亜美と優香。

……。

「「最近の若い子はや〜ね〜。」」

ニヤニヤしながら茶化してくる2人。

…見られてたか。

もう、嫌。

佐倉と相良と話している隣に立っている大輝を思わず殴りつけると、


「どうした?」

そう言って柔らかい笑顔を私に向けてきた大輝。



< 144 / 302 >

この作品をシェア

pagetop