君がくれたもの


水族館や、夜景。

「…馬鹿、大輝。」

すやすや眠る綺麗な肌の大輝の頬にゆっくりとキスをすればくすぐったそうにして、

幸せそうに笑って、

「…日菜子。」

寝言で私の名前を呼んだ。

「…大輝大好きだよ。」

今度は唇にキスを落とし、

顔を上げれば、


至近距離で大輝と目があった。


「…は?」

「…え、あ、」

「…ふざけんな。」

「…ご、ご、ごめんなさい。」

一応言っておこう。

今の会話は、

上から、

私、大輝、私、大輝。

「…いつから起きてたの?」

「…えっと、日菜子ちゃんが雑誌見ながらニヤニヤしてたところ?」

…ほぼ最初からやん!

ふざけんな!もうしらない!

「大輝嫌い!」

そう言ってそっぽを向くと、後ろから私を抱きしめた大輝。

そんなことで私はごまかされない!

「…ごめんな?日菜子。」


耳元で寂しそうな大輝の声に不覚にも高鳴る胸。

だめだめ!

私は怒ってるの。

だめ、

でも、

垂れた耳と尻尾まで見えてきた!
だめ!

騙されちゃ、

「…俺は日菜子が好きだよ?」

……はい。負けました。



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