君がくれたもの

恐る恐るその紙を持ち上げた瞬間、


「…っ?!」

ガタンッ!

ものすごい音がして引き出しが落ちた。

震える体…

止まらない涙。


うそ、でしょ…?


【ひなこちゃん、あたらしいぱぱとままとしあわせにくらしてね】

小さい子独特な字…

同じような手紙が何枚も床に散らばって、


【この度

柳沢日菜子ちゃんが

桐谷日菜子ちゃんになった事をお祝い申し上げます。】

的な内容が書かれた手紙…

送られてきた場所は

星空施設。

この辺にある、

身寄りの無い子たちの施設。

私は何もかも置いて家を飛び出した。

玄関を出るとき、お父さんとすれ違った気がするけど、

「日菜子?!」

お父さんの叫び声が聞こえた気がするけど、

もういや。

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