君がくれたもの
無我夢中で走っていた。
死んでしまいたい。
死んでしまいたい。
もう消えてしまいたい。
こんな世界もう嫌だ。
嫌なことが重なりすぎている。
もう嫌だ。
河原が見えた瞬間、
私はそこに足を向けて走り出した。
河原について足を入れた瞬間
水の勢いに驚きながらも一歩一歩足を進めた。
恐怖なんて感じられなかった、
ただ、死にたい。
その一心。
一歩一歩深く深く沈んでいく体。
腰まで沈んだ時、
「日菜子!!」
愛しい人の声…
「日菜子!」
「日菜子!」
大切な親友達の声。
だけどお願い、死なせて。
あなたたちを突き放すくらいなら死んだほうがマシって気づいたよ。
肉親さえもいない私。
大翔でさえ私の本当のお兄ちゃんじゃなかった。
でも言われてみればそうだった。
大翔はお父さんに似ているのに私はどちらにも似ていない。
なんで気づかなかったんだろう。
なんで、
なんで、
「…バイバイ、大好きだよ、みんな。」
なんで、
早く死を決意できなかったんだろう。
ザブンッ。
勢いよく沈んだ体
水中の中目を開けると見えたのは綺麗な太陽と青。
本当にこんな風に見えるんだ。
最初は苦しかったのにだんだん楽になってきて、
ゆっくりと目を閉じた時、
「……日菜子!」
最後に聞こえた大好きな大輝の声。
さよなら、
大輝。
私を好きになってくれてありがとう。