君がくれたもの


あの日の前の日の電話の最後に照れ臭そうに言った日菜子…

《…バイバイ。》

泣きながら俺たちに放った言葉。

守れなくてごめん。

涙をこぼした時、

ガラリと開いた扉。

その方を見ると、

目を見開いて立っている大翔くん。

その手には、日菜子の好きなものばかり。

「…大輝もいたのか。」

「お疲れ様です。」

ぺこりと頭をさげると、

「大輝もな…」

そう言って俺の反対側に座った大翔くん。

日菜子を見つめながら寂しそうにする大翔くん。

病室に静かな空気が流れる、

決して悪いものではなくて、

だからといっていいものでもない。


< 178 / 302 >

この作品をシェア

pagetop