君がくれたもの
あの日の前の日の電話の最後に照れ臭そうに言った日菜子…
《…バイバイ。》
泣きながら俺たちに放った言葉。
守れなくてごめん。
涙をこぼした時、
ガラリと開いた扉。
その方を見ると、
目を見開いて立っている大翔くん。
その手には、日菜子の好きなものばかり。
「…大輝もいたのか。」
「お疲れ様です。」
ぺこりと頭をさげると、
「大輝もな…」
そう言って俺の反対側に座った大翔くん。
日菜子を見つめながら寂しそうにする大翔くん。
病室に静かな空気が流れる、
決して悪いものではなくて、
だからといっていいものでもない。