君がくれたもの
だけど、不意にゆっくりと話し始めた大翔くん。
「…日菜子は、いつ目を覚ますかわからないって医者に言われた。」
震える声でぽつりと呟いた大翔くん。
そんな大翔くんの言葉に顔を上げれば手を組んでおでこに当てて震える大翔くん。
「…このまま目を覚まさないこともありえるとも言われた。」
大翔くんの言葉が重く重く俺にのしかかってくる。
耐えきれずにゆっくりと目を閉じれば、
「…もう大輝は前に進め。」
聞きたくなかった言葉が俺の耳へと入ってきた。
「…母さんとも親父とも話した結果だ。
大輝なら、顔も性格もいいしすぐに彼女くらいできるだろ?」
そう泣きそうな笑顔で言った大翔くんに俺は、
気づけば、
「ふざけないでください。
そりゃあ、俺だって新しく彼女作ろうと思えば作れますよ。
だけど、俺は日菜子しか無理なんです。
それに、日菜子は寂しがりで、
きっと、俺が他の女のところに行けば、
日菜子は悲しみます。
そんな思いさせたくないんです。
例え、日菜子が俺のことが嫌いになって別れても、
戻ってくるのを待ってます。
だって、
俺はどんな時でも日菜子の帰る場所になりたいから…。」