君がくれたもの
「気付かないとでも思ってた?」
なにを言っても涙を流すだけの2人。
「なんか言ってよ!」
叫んだ私を強く抱きしめた金澤。
金澤の胸に私の顔を押し付けて、
「落ち着け。
日菜子ちゃん。」
そう言う金澤に
口調が変わってるのにも気付かないくらい、
私は取り乱していて、
だけど不意に聞こえた、
「ごめん。」
悠介の震える声に私は、
無意識に金澤のワイシャツを掴んで
耳を澄ませていた。
「ごめん、日菜子。」
ズキっと痛んだ胸。
「…俺は、俺は。」
だめ、聞きたくない。
嫌だ。
聞きたくない。