君がくれたもの
俺の待ち受けの、笑顔の日菜子の画面に、
ヒビが入ったのも、気づかずに俺は涙を流し続けた。
日菜子の声を忘れてしまいそうで、
日菜子の涙を忘れてしまいそうで、
どんどん思い出になっていくことが、
すごく怖い。
言葉に出せない恐怖で俺は覆われていた。
「…日菜子、声を聞かせてよ。」
部屋の外で泣き崩れる優香の声にも気づかずに、
俺は泣き叫び続けた。
外からは、強く降り注ぐ大雨の雨音。
本当にごめんな、日菜子。