君がくれたもの
嫌だ。
耳を塞ごうとした時、
「俺は、麻美が好きだ。」
残酷な声が私の耳を貫いた。
「ごめんなさいっ。
私も悠介が好きです。」
ぐさりと胸の奥底に刺さった声。
放心状態になってしまった私。
脳回路も全部中断されて、
「…ざけんな。
ふざけんじゃねぇよ!」
辺りを低い低い怒鳴り声が響き渡った。
私の声ではない、
金澤の声。
私から離れた柔らかい柔軟剤の香りに、
思わず手を伸ばそうとしてしまった私。
だけど、
悠介の胸倉を掴みあげた金澤。
私はただそれだけを見つめることしかできなくて、