君がくれたもの




嫌だ。
耳を塞ごうとした時、















「俺は、麻美が好きだ。」


残酷な声が私の耳を貫いた。

「ごめんなさいっ。

私も悠介が好きです。」

ぐさりと胸の奥底に刺さった声。

放心状態になってしまった私。

脳回路も全部中断されて、















「…ざけんな。

ふざけんじゃねぇよ!」


辺りを低い低い怒鳴り声が響き渡った。

私の声ではない、

金澤の声。

私から離れた柔らかい柔軟剤の香りに、

思わず手を伸ばそうとしてしまった私。

だけど、

悠介の胸倉を掴みあげた金澤。

私はただそれだけを見つめることしかできなくて、



< 19 / 302 >

この作品をシェア

pagetop