君がくれたもの


「今日はね、みんなデートだって!
私も大輝と病院デート!ふふふ。」

「だいぶ傷も消えていったね。」

頬の傷は跡もなく消えていて、

「大輝~?早く目を覚ましてくれてもいいんだよ?」

笑いながら言っていても涙が溢れる。

「あと少しで年が明けちゃう。

もうなんだかんだ言って、ちゃんと起きてる時から4ヶ月も会えてないね。

どっちかが眠ってる。

大輝寂しいよ…?

早く抱きしめてよー」

だんだん震えていく声。

沈黙が訪れた病室。

「…ウッ…ヒック…大輝…」

「…寂しいよ…」

いつもは逆でしょ?

大輝が話して私が頷いて…

なのに、

なのに、

「…好きだよ、今日もずっとずっと大輝が好きだよ…

…相槌くらい打ってよ、ばか。」


病室の外には

雪が降り始めていて、

あたり一面を銀世界へと変えた。


だけど、


大輝は目を覚ますことはなかった。



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