君がくれたもの


「知ってるも何も、俺と直人は仲良しだ!仲良し!
よく似てるって言われてたんだぞ!」

と、えっへんと笑った大翔。

「直人さんの病室は?」

そう聞くと怪訝な顔をした大翔は、

「え?ちょうど真上の階だよ。」

大翔の言葉を最後まで聞かずに階段を駆け上がった。

エレベーターなんて待ってる暇なんてない。

ちょうど、上の階に着くと、

バタバタ動き回る看護師さんとお医者さん。

そこが向かう先は、ちょうど大輝の上の階の病室。

おばさんとおじさんと優香が泣きながらそれを見守っていて、

「おばさん!おじさん!優香!」

そういって駆け寄ると私の方を向いた3人。

「「「日菜子《ちゃん》!!!」」」

優香は私に抱きついてきて、

3人の視線の元を追うと、

忙しなく動く病院の人達。

「…今、お兄の容態が、急変したのっ!」

大泣きをし始めた優香を抱きしめていると、

「おい!日菜子!」

すぐに聞こえてきた大翔の声。

「おまっ!

って、は…?」

目を見開いた大翔。

「…なお、と?」

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