君がくれたもの


私は優香に電話して

大輝が目覚めたことを報告した。

すぐにやってきたおばさんとおじさんと優香は、

検査が終わるのをじっと待っていた。

その間に、佐倉と相良と亜美も来て、

みんなで只々大輝の無事を祈って、

ベンチに座って待っていた。


しばらくすると開いた病室。

瀬山先生は嬉しそうに笑いながら、





「安心してください。

後遺症も記憶障害もありません。」

そう笑った先生に皆は泣き崩れた。

「ただ、」

「…ただ?」

「しばらく眠っていたせいで、声帯も筋肉も固くなっています。
なので、少しずつ回復を待ちましょう。

あ、大輝くんが日菜子ちゃん呼んでたよ。」

と笑って言った先生に私は病室へと駆け寄っていた。


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