君がくれたもの


大輝はまさか私が飛びつくなんて思わなかったのか、

ベッドに倒れて、

私が押し倒してる状態。

だけど、そんなのも気にならないくらい

大輝の病院服の胸元を握りしめて、

泣きじゃくった。


「…私も大輝と同じだよ。

本当に大好き。」

そういった私に優しく笑った大輝は優しく私にキスをしてきた。

大輝は何よりも誰よりも私の大切な人だよ…。

優香も亜美もお母さんもお父さんも大翔も佐倉も相良も皆大切だけど、

大輝も大切なんだ。

だって、

皆との始まりは全部全部大輝だから、

「…私に大切な人を与えてくれてありがとう。

…人を愛することを教えてくれてありがとう。

…大切に思う気持ちを教えてくれてありがとう。

……出会ってくれて、ありがとう。」


ずっと言いたかった言葉。

「…もっと、もっとありがとうはいっぱいあるけど、

これからの人生でゆっくり言わせてね?」


泣きながら言った私を大輝は自分の胸に抱き寄せて、

「…ばか日菜子、反則だ。

だけど、
俺も、人を愛することを教えてくれてありがとう。」

震える大輝の声。

泣いているのがわかって、

私も余計胸がきつく締め付けられた。



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