君がくれたもの


それから、冷夏さんは直人さんとの出会いを話してくれた。

中学1年生の頃の塾の帰り道で

絡まれて困ってたとき助けてくれたのが直人さんだということ、

それから、何かある度に助けてくれた直人さん。

気づけば直人さんを好きになっていて、

中学2年生の頃2人は付き合い始めた。

順調に進んでいって、

そして、高校3年生の頃、

冷夏さんの妊娠が発覚した。

直人さんはすぐに高校を辞めて仕事に就いたらしい。

だけど、その矢先に直人さんは事故にあって意識を取り戻すことはなく、

今は瀕死。

助かる確率は僅か。

大輝と優香とおばさんとおじさんは妊娠していたことを知らないらしい。

全部話し終えたとき、

「だからと言って優香と大輝を傷つける必要はないと思います。」

そう言った時、

目を見開いた冷夏さん。

「…どういうこと?」

眉間に皺を寄せて私に問いかけてきた。

「とぼけるんですか?」

「…え?待って本当にどういうこと?」

本当に知らないような素振りの冷夏さんに全てを話すと

目を見開いて首を振った冷夏さん。

「…それ私じゃない。」

…え?

よく見れば誰かに似てる気がする。

「私は直樹が事故にあった時ちょうど入院中だったの。

体が完全に発達してないのに双子を産むのに入院生活だったの。」

冷夏さんの言葉に目を見開いた。



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